五家の荘樅木の紅葉2008年11月12日

 梅雨時の集中豪雨による崩落で、九州山地の山深い、五木村と背中合わせに位置する五家の荘への道路は、復旧工事が未だに行われているために、観光の目玉の一つである「せんだん轟」へは山肌にしがみつくようについているぎりぎりに車が通れる狭い迂回路しかない。だから慣れぬ者にとっては、まさに剣呑極まりないスリルに満ちた道程となる。という訳で、今秋のこの地の紅葉は、地元のバス会社が計画する日帰りバスツアーの世話になることにした。
 前日までの曇天は何処へやら、当日は朝から快晴・微風と紅葉狩りにはお誂え向きの天気。日の出と共に市内を出発、山深く分け入るに従い、辺りは次第に紅葉が始まる。壇ノ浦の戦に敗れた平家の一族が落ちてきた場所だけあって、谷は深く、山々は頂を接せんばかりに近く寄り添い、天上を仰げば青空が見えるものの、陽が当たるのはごく一部で陰のところの方が多い。加えて、昼頃からは雲も広がってきた。
 見て回った所は、順に「せんだん轟」、「樅ノ木吊り橋」、「平家の里」、そして「梅ノ木轟」だが、轟とは土地の言葉で滝のことだし、吊り橋は当然のことながら渓谷に架かる。従って、目には彩り溢れる紅葉も、日陰では、写真の上ではなかなかそれが再現し難い。唯一日射しの中で見ることができたといえそうなのは、狭いながら平な場所に作られている平家の里の紅葉のみだった。
 狭く急な道を延々と上り下りして見て回った疲れが翌日は一気に足に出て、さながらロボットの歩行宜しき一日となった。