秋の気配2011年08月10日

「ヒゴタイ」
 一昨日は立秋を迎えたが、残暑は更に厳しさを増している。人体の体温を超える最高気温が日本列島のどこかで連日観測されているほどだ。せめて阿蘇の丘陵ではぼつぼつ秋の気配も感じられないだろうかと、心の片隅に淡い期待を抱いて車を走らせた。
 熊本県の北端、大分県と境を接する産山村。そこの「ヒゴタイ公園」では、日本列島が太古、中国大陸と地続きであったことの証とされるヒゴタイが花をつけ始め、オミナエシやカワラナデシコも揃って高原を吹く風に揺られていた。熊本市内の最高気温が今日は34℃との予報だが、ここでは29℃。5℃ほど低く、特に日陰で憩えば吹き渡る風がひんやりとして心地よい。
 とはいえ、緩やかにうねる丘陵を覆う草木の緑は濃く、茎が伸びてきたススキにもまだ穂は見えない。見渡せば、五岳や久住連山の上には積乱雲が聳え、灼熱の太陽の煌めきは全く衰えを感じさせない。秋の気配はまだ微かである。